グリブル小説「日曜日は晴れ」
 

 

「あ、雨だ…」

 

日曜日は晴れ

 

「昼間はあんな暑くて晴れてたのにな…」
彼が空を見上げる。

帰り道、夕方の空は紅くならずに、灰色に染まっていく。
夜の訪れが、そのまま闇に飲み込んでいった。
「日曜も雨だったら嫌だなぁ…」
あたしはさみしげに空を見上げる。
「なんだよ、日曜何かあるのか?」
彼はあたしの方を向いた。
「……もう!忘れたの?日曜日はグリーンにデートしよ!って言ったじゃない」
ぷぅと頬を膨らませる。
「…いや、忘れてはいないが、別に出かけるのに雨じゃ困る場所じゃないだろ?」
彼はいぶかしげな表情を浮かべた。
「雨よりは、暑くても晴れた方がいいもん!」
あたしはじっと彼を見上げた。
「あぁ、おまえ雨嫌いそうだな」
「嫌いじゃないよ。でも、晴れてる方がいいじゃない!」
「こないだ嫌いって言ってなかったか?」
「嫌いなんじゃないよ!さみしい感じがするって…」
っていうかそんな昔の話、よく覚えてるね。
「……なんだよ」
「いた」
訝しげな表情で見ていたら、額をはたかれた。
「で、なんで晴れた方がいいんだよ。べつに、雨でも行けない場所じゃないだろ?」
まぁ、そうなんだけど。

行くのはタマムシにお買い物。
薬が少なくなったから補充に行かねばと漏らした言葉を、聞き逃さなかったあたしが勝利したのだ。
一緒に行く!!とその場でデートにこぎつけた。
だってそうでもしないと、二人で出かけるなんて絶対できないし。

「だって…」
あたしはうつむいて歩き出す。
「だってなんだよ」
言葉を濁すあたしに、珍しく催促するグリーン。
そんなに気になったんだろうか…。
大した理由じゃないのに、なんか言いづらくなっちゃったなぁ。
「…」
「おい、なんなんだよ」
「距離あいちゃうじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」
彼は間抜けな声を挙げる。
「雨だと、傘持つでしょ?そうなると傘の分距離あいちゃうじゃない。久々に二人で出かけるのに、腕組んで歩きたい…」
むぅと眉間にしわを寄せた。
「…」
無反応。

呆れられたかなぁ。

「だってグリーン愛愛傘なんかしてくれないでしょ?」
グリーンに限って絶対あり得ないし。
「あたりまえだ!」
あ、反応あった。よかった。
「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……グリーン」
「なんだよ…」
「…真っ赤よ?」
「うるさい!!!」

あらやだかわいい。
どこに反応した…?

「何よぉ、もう」
何なの?
「あほ」
「なんでよ!!」
「はぁ」

なんでため息つくのさ。

「日曜」
「え?」

 

 

 

 

 

 

 

「晴れるといいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グリーン真っ赤」
「うるさい」
グリーンはあたしの頭に手を乗せて俯かせた。

 

日曜日は晴れ。
邪魔な傘なんか玄関に放置して、あなたの腕に、飛び込もう。

 

2006年9月2日&10月3日 Fin


あとがき

あとがきと言うなの言い訳書きって感じな気がしますが、みんなそういうもんだよね(え)
まぁそんなこんなで季節外れな雨ネタ。っていうかなんていうか、なんでかこう、今年の夏や秋は雨が多かった。とにかく雨で雨でどうしようもないくらい雨で、あぁ姉さんはこんなこと思うのかなぁって感じで書きました。まぁ元思いついたのは、男女のお友達さんらしき二人があたしの前を歩いていて「日曜雨だとやだなぁ」「日曜なんかあんの?」「ちょっとね」という会話を立ち聞きしてしまったのが始まりでした(笑)二人は恋人同士というよりは友達同士って感じだったので、脳内で日曜は彼氏とデートか?と変換してしまったのがそもそもの始まり(死)あぁもうあたしの脳内の馬鹿!!またやろうかな、日常がドリーム生活ならぬ、日常がグリブル生活。うわ、嫌だ!(うわおいしい!(ええ))あははは。
まぁそんな感じで、身近なネタにきゅんきゅんきては、あぁ俺ってばオタク。うふふと思う、今日この頃でした。身近なことを話題や書くネタにしてる人はオタクの気がありますよ?ご注意!