グリブル小説「さくらんぼ色」
 

 

さくらんぼ色

 

「ねぇグリーン見て見て」
あたしはモンスターボールを持って彼にかけ寄る。
「ん?どうした?」
彼はあたしに振り返った。
「これ、シルバーに交換してもらったの」
そう言って、モンスターボールから小さいポケモンを出す。
ちょっと彼が眉間にしわを寄せた気がしたけれど、気のせい?
「…これは?」
彼が見たことないポケモンだったのか、不思議そうにそのポケモンを見た。
「チェリンボって言う、シンオウ地方のポケモンなんだって。さくらんぼポケモンなの。レベル25になると、チェリムっていうサクラポケモンに進化するんだって。ちょっと早いけど、お花見にってシルバーが」
「…へぇ」
あたしがうれしそうに話すと、彼は眉間にしわを寄せていたのを、軽くため息でとき、あたしの頭をやさしく撫でてくれた。
「…グリーン?」
なんで撫でてくれるのかわからないあたしは、不思議そうに彼を見上げる。
すると、

 

 

 

「いてっ!」
抱き抱えていたチェリンボが、あたしの頭を撫でていたグリーンの手めがけて、たいあたりをした。
「ちょっ、チェリンボ!?」
あたしは慌ててチェリンボを抱き抱える。
「…こいつ…」
彼がむっとチェリンボをにらみつける。
「もう、どうしっちゃたのぉ?さっきまでおとなしかったのにぃ。あたしにはたいあたりなんかしないのに…」
優しくチェリンボの頭を撫でてなだめた。
「…俺のこと嫌ってるんじゃないのか?」
彼はむっとしたまんまそっぽを向いてしまう。
「えぇそんなぁ。シルバーは平気だったから男の子がダメってわけじゃないよねぇ。なんでかなぁ…」
不思議そうにチェリンボを見つめれば、あたしになついてくれる。

たしかにグリーンはちょっと眼つき悪いから怖い顔に見えるかもしれないし、態度でかいからむかつくのかもしれないけど、でも…

「おまえ今むかつくこと思わなかったか?」
「…ううん?」
するどいなぁ。
「はぁ。べつにどっちでもいいがなノ好かれようが嫌われようが…」
関係ないというように書類に視線を戻す。
「やだよ」
「…え?」
彼は再度あたしの方を振り返る。
「あたしはいや」
「…なんでだよ…」
彼は訝しげな顔であたしを見る。
「だって、好きな人を嫌いにはなってほしくはないもの…」

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

「…グリーン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なんだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…チェリンボみたいだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の顔は、チェリンボみたいに真っ赤で、思わず笑みがこぼれた。

 

2007年3月3日 Fin


あとがき

いやバカですが、何か?結局いつだってブルグリ…。でもだいぶグリーンが姉さんに優しく接してくれるようになった気がしてなりません。まず兄さんが姉さんが呼んで振り返った。書類から目を離してくれる。姉さんの話を聞いてくれる。なんとはなしでも頭を撫でてくれる。シルバーにあからさまに妬いている。こんな代進歩は考えられない進化であります。兄さんも姉さんをしっかりと愛し始めてくれてるのかなぁとあたしの心の中ではだいぶいろいろできてきてはいます。兄さんが姉さんを好きになる瞬間っていうのを考えることができたからかなぁ。もう忘れてしまったけれど(おい)まぁいずれ書く機会があればね。
さて、これを更新する前にいろいろやるものもあるのですが、桜の季節が終わってしまいそうだったので、先に更新しました。いやぁどうしたもんかねぇ。あははは。とりあえず更新できて良かった。えへ。桜咲いちゃって、散ってますが、あくまで書いたのはひなまつり、イエローの誕生日であったことをお忘れなく(笑)
本当はこれには、チェリムに育てるという、少し中編的なお話を想像しておりましたが、めんどくさくなって長くなるのが嫌でやめました(笑)見たいって要望があれば書くかもしれません。