寒さとぬくもり 「さっむーーーい!!!」 少し厚手の服にコートを着込み、マフラーをしている。 「そりゃいつものノースリーブ、ミニスカートが薄着すぎるんだ。今だって、上着を羽織ってるだけで、ミニスカートなのは変わらないじゃないか」 そう、そこなのだ。 「…アホか…」 人がせっかく気を使ってるにぃ。 「ったく」 彼の今の格好は、いつもの格好にマントを羽織った状態だ。 「え、でも平気?」 悔しいが、確かに寒くはなくなった。 「…しっかし、おまえを弁護するわけじゃないが、ほんとに一気に寒くなったな…」 手作り関係は、分かれたときの処理に困るからだろう。 「そうじゃなくて、お前が作ると、すっごい色合いで作られそうで嫌だ。つーかそもそもおまえ、編み物なんかできるのか?」 ん? あれ? 返答なし? 「………あぁ、そういえば」 どういうことだろう。 「ほら、置いてくぞ」 えーと、それは… 「……え、それは…」 あぁ、手袋をあげようと思ったのは、間違いだったかなぁ。 2007年11月21日 Fin
兄さんハピバー!!って言うには一日早いのですが、そう言う話なのでいいんです。なんかあんまりにもさむーーーい!!って季節になってきたので、さむーーーい!!って思ったら姉さんがそう叫んでました(は?)そしたら兄さんが上着を貸してくれて、「グリーンに抱きしめられてるみたいで、あったかくて気持ちいい」って言い出したらなんかエロくなって、「エロい」っていうか卑猥と言わせました。兄さんは無駄に漢字で語ってくれそうです。今回の兄さんは、クリアー・ド・フォッグ様の兄さんに近い感じになったような気がします。しっかり突っ込んで、しっかり会話に参加して、しっかり優しさを忘れないけど、攻められっぱなしに見せかけて、そうでもないっていうそんな丁度いい兄さん。まぁクリアー・ド・フォッグ様以上には絶対かけませんが、少しでもそういう兄さんも自分が書けるようになったのは進歩です!このまま頑張れ攻め兄さん!!まぁそんな感じで話を進めてたらマフラー買いに行こうって話になり、でもなんで買うんだって思ったら、ああ兄さんの誕生日だしいいかと、なぜか兄さんの誕生日前小説になったという、いつもながらにいい加減な物語の運びです。こんなんもんです!!万歳!でも珍しくあたしにはありえないほどの長さを記録しました。よくやった俺!!ばんざーい!兄さんハピバー!!
まだ11月だというのにこの寒さ!ありえない!!
「…そりゃおまえ、そんな薄着してるからだろ…」
彼は呆れたように息を吐いた。
「薄着!?これのどこが?!いつもより絶対着込んでるわよ!!」
そう言って腕を広げて見せる。
十分じゃないか。
彼は眉間にしわを寄せた。
「だってスカートの方が好きなんだもん」
ズボンなんて、1着2着程度しか持ってないわ。
「ミニスカートにする必要性はないと思うが?だいたい、別にズボンだっていいじゃないか…」
「いや!おしゃれに我慢はつきものよ!!ミニスカートのトレーナーたちの苦労を思い知りなさい!」
ミニスカートのみなさんは、年中ミニスカだ。
「いや、思い知れないから…。っというか、だったら文句を言うな…」
まぁグリーンがミニスカート履いたら気持ち悪すぎるけれど…。
「だって寒いんだもん!!耐えられないわよ、こんな寒さ!!」
「寒いって言うから寒く感じるんだろう?」
はぁと彼は息を吐く。
その白い息が、余計に寒さを増長させた。
「じゃあ熱い暑い熱い暑い!」
「…うざい」
自分で寒いって言うなって言ったくせに!!
「じゃあどうすればいいのよ!!」
「何か着ろ」
彼は呆れすぎたのか、投げやりな答えしかくれなくなった。
「これ以上着たらぼてぼてになるもん!!」
おしゃれに我慢はつきものなのは、そういうこと。
着込み方にもそりゃいろいろ手はある。
だが、これ以上の着込みは、必要以上に体のラインを太く見せる。
あげくまだ11月だ。
これ以上のコートに、マフラーに耳当てに帽子に手袋なんていう着込み方をしたら、それこそ季節が違いすぎる。
さらに毛糸のパンツや体中ホッカイロだらけなんておばさんくさいことは、死んでもしたくない!!
だからこそ、必要最低限なモノで寒さを凌ぐしかない。
おしゃれはいつだって戦いなのだ!
はぁと彼は何度か分からないため息をつく。
「グリーンだってそんなぼてぼてした女に隣歩かれたくないでしょ?」
「べつにどうでもいいがな」
あぁ、もう!!
「もう!!デリカシーないんだから!!」
信じらんない!
かっこよすぎる部類に入るグリーンの隣を歩くのは、それなりにいろいろな努力が必要なのだ。
まぁただ単にあたしがぼてぼてになりたくないからだという理由もなきにしもあらずだが。
そう言って息を吐くと、彼は上着を脱ぎ、あたしの肩にかけてくれた。
「え…」
「俺はこのマントがあるから別に寒くない。それに、それならおまえには大きいサイズだし、そんなにぼてぼてには見えないだろ…」
そう言って、彼は先を歩き出した。
この上着をいれれば、あたしよりもあったかい格好をしていたのが分かる。
でも、
さすがにやっぱり寒いんじゃ。
「おまえと体の出来が違うからな」
「それってあたしが軟弱って事?」
それはそれでむっとするんですけど…。
「それで寒くないならいいだろ」
「…」
その貸してくれた行為と、貸してもらった上着の暖かさによって…。
はぁっと白い息を何度も吐く。
「一言多いわよっ、そこ」
弁護したっていいじゃないか。寒いものは寒いのだ…。
「…今から寒いんじゃ、2月はとんでもなく寒そうだな」
「言わないでっ…余計に寒くなるっ」
せっかくあったかくなったはずなのに、身も心も凍りそうではないか。
「…はぁあああ」
そんな凍えそうなあたしをよそに、彼が白い息を吐けが、まるでたばこの煙のように出ては消えていく。
その姿を見て、さらに寒さを感じたけれど、じんわりと感じる上着の暖かさに、お礼を言うのを忘れていたのを思い出せた。
「…上着…あったかい…ありがと」
いまさらで申し訳ないのだが。
「…いや」
「…なんか、グリーンに抱きしめられてるみたいで、なんかちょっと嬉しい」
彼のぬくもりが、あたしのぬくもりと同化していくみたいだと、そう感じた…。
「そういう恥ずかしいセリフを言うな」
そのセリフに、彼は頬を少し赤らめる。
「だってあったかくて気持ちいいんだも〜ん」
ぎゅっと、彼のくれた上着を抱きしめれば。
「…なんか卑猥」
と訳の分からない突込みをされた。
「なんでよ!?そういう考えする方がずっと卑猥よ!!」
なんでそういう突っ込みになるかなぁ。
「男はみんなエロいぞ?」
「開き直らないで!!」
あんたそういうキャラだっけ?
ゴールドに感化でもされたのだろうか…。
「…なんか、やっぱ脱げ」
「なんでよ!?ちょっ、やだっ脱がさないで!」
あたしは慌てて離れる。
「ちっ」
これ、会話だけ聞いたらこっちのが絶対卑猥なんですけど…。
「もうっ!っていうか、寒いの?グリーン…」
返せって、寒くなった?
「いや、耐えられないわけじゃないが」
寒くないとは言い切らなくなったはね…。
まぁ上着は返してあげられないから、暖かくなる話でもしてあげよう。
「今度手編みのセーターでも作ってあげようかぁ」
「やめてくれ」
即効否定!?
「なんでよ!?あ、彼女からもらって困るものNo.1だから?」
雑誌でそう書いてあったのを思い出す。
まぁ別れるつもりはないんだからいいじゃないかとも思うが、別れるつもりなの!?
あ、違うのね。良かった。
っていうか、そんな意外そうな目で見ないでよ…。やったことないけど。
「っていうか、すっごい色合いって、あたしどんな風に思われてるのよ…」
「こないだくれたTシャツの柄がとんでもなかったからな。おまえの趣味を疑うよ俺は」
そんな冷めた目で見ないで!!
「あれは冗談よ!おもしろいのが売ってたから嫌がらせにあげただけよ!」
「嫌がらせでよこすな!!今回もその類じゃ困るって話だ!!」
「ちっ」
まぁ、いっそすっごい色の組み合わせとかうさぎマーク入りとかおもしろいとは思ったのは事実だけどぉ。
「おい!!」
「冗談よぉ。ただ寒そうだからさぁ。今年の冬を乗り切れるアイテムでもあげようかなぁって思っただけ」
「せめて普通の既製品にしてくれ」
彼は思いっきりため息を吐く。今日ため息多いわね。
「そうねぇ…。グリーンには、カシミアチックな茶色と黒のチェックのマフラーとか合いそう」
思わずめぐらした頭には、ぴったりの商品が浮かんでしまう。
「…なんでそんな具体的なんだ」
「今から買いに行こうか」
ちょうど街にいることだし。
「今からかよ!?」
「だって、明日グリーン誕生日でしょ?」
「遅っ!?今頃気づいたの!?」
今の間は理解するための間だったのか…。
「誕生日なんか早々覚えてないだろ…」
「覚えててよ」
イベントごとには疎い人だとは思ってたけど、まさか自分の誕生日まで…。
「ただの年をとるだけのイベントだろ?」
「まぁっ、夢も希望もない。誕生日はその人が生まれてきた記念日なのよ?盛大に祝わなくちゃ」
その日がなきゃ、グリーンは生まれてないんだからね…。
「そんなもんかねぇ」
「そういうもんなの!だから買いに行こうっ!」
そのマフラー。
「…いや、別に今じゃなくても…」
「ちょうどいいじゃん。グリーンが欲しいものをあげられるなら、あたしは嬉しいよ?まぁもう用意してあるんだけど、そのマフラーとなら合わせられるやつだし、一緒にさ」
今年の冬は寒いっていうから、そのマフラーに合わせられる手袋を用意済みだ。
「…いや、そんな別に…」
「あたしの誕生日のときは、ブランド物のバックと指輪でいいから」
2つあげるから、2つ頂戴ね?
「あげられるか!!!明らかに値段が違いすぎるだろ!!」
「冗談よぉ」
なんでも本気にしてくれるから思わずからかってしまう。
あたしはくすくす笑って見せた。
「ったく…」
彼は呆れたように息を吐く。
「まぁ、あたしが一番欲しいのはグリーンだから、グリーンが一番欲しいんだけどね」
「っ!?」
彼は顔を思いっきり真っ赤にさせた。
「あたしが欲しいのはグリーンだけよ?」
嬉しそうに、あたしは笑顔を浮かべる。
「…ったく…おまえは…はぁ………ほら」
そう言って、彼は手を差し伸べてくる。
「え?」
あたしはその行動に、首をかしげた。
何故今のセリフで手を差し伸べられるのか。
グリーンをくれるってこと?
どうぞっていう手?
そう言って、再度手を差し伸べられる。
「ほらっ」
あ、顔真っ赤だ。
「……グリーンっ」
あたしは思いっきり、彼の腕に抱きつき、ぎゅっと手を握る。
手袋じゃ、この彼の手の暖かさを、直に感じられなくなっちゃう。
っていうか、
「グリーンあったかい…。上着借りないで、最初から抱きついときゃよかった」
「アホ言ってないで行くぞ…」
彼はそのまますたすたと歩き出す。
この寒さも、彼と二人なら平気そう。
「大好きっ!グリーンっ」
「…っ」
彼の真っ赤な顔が、体のぬくもりを伝わって、感じられた…。
あとがき