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グリブル小説「背中」
 

 

「ねぇグリーン」
ジムの仕事をしてる背中に話しかける。

「…グリーン」
ポケモンの世話をしてる背中に呼びかける。

「………ねぇ…………グリーン」
あなたの背中に、言葉をかけた。

 

 

背中

 

 

「ねぇ…グリーン」
「なんだ」

あなたの顔が、うまく思い出せないの…。
どんな顔だったか、どういうときに、どんな表情をしてたのか…。
なんだか、過去の記憶を探るみたいな思い出し方しかできないの…。

あたしの記憶が曖昧なんじゃなくて、あなたのことを、思い出せないほど会ってないわけじゃなくて…。

毎日だって、会える距離にいて、毎日だって、あなたと顔を合わせてる。

 

 

 

 

 

そのはずなのに…。

「…ねぇ………グリーンっ」
声が、震える。

「…だからなんだ…」
彼の後ろ姿が、はっきり見えないの…。

「…グリーンっ!!」
ぎゅっと、あたしはグリーンの背中に抱き付いた。
「うわっ!?…なっ!抱き付くなと言ってっ…っ!?」
彼はがばっとあたしを引き剥がすと、なんだか知らないけど、驚いたように、少し身をひいた。
「…っ」
もう、視界がぼやけすぎて、目が開けてられないよ。
「…ぶ、ブルー?…どうした?」
彼の手が、優しくあたしの頬に触れる。
「…ねぇ…ねぇ、グリーンっ」
情けない声しか出ない…。
「…ん?」
顔を近づけて、優しくあなたが頬を撫でてくれる。
「…っ…グリーン……」

視界がクリアになった…。
視界を邪魔していたものを、彼が優しく拭ってくれたから。
彼の緑の目がはっきり見えて、あたしの顔が映ってるのが確認できた。

 

「…ねぇ…グリーン」
切なげな声。
「…どうした?」
優しい声。
「…大好きよ…」
感じるぬくもり。
「…あぁ、俺も好きだ」
伝わる想い。

「……大好き」
そっと、彼の背中に手を回して、抱き付いた…。

 

2006年10月16日 Fin


あとがき

意味不明と言わないで。俺も意味不明。なんかこう、書きたかったものはもっと別の物で、こういうのを書きたかったわけじゃなくて、でもなんだか姉さんを露骨に泣かせるのが嫌で、こうならざる終えなかったというか、なんというか。うーむ。まぁなんというか、いきなりすぎるし、話が唐突すぎて意味不明だしと困った作品ですが、まぁ兄さんの困った感じがみんなに伝われば、ある意味姉さん視点で見てて、兄さん的な感情の捉え方ができていいのかもしれないですね。なんて勝手に良い方の解釈(死)まぁ詳しく説明しなくても、言いたいことは言葉にしたはずなので分かってくれるといいんですが、ただ、こうどんなに呼びかけても振り向いてくれないのが淋しくて、顔が見えない分不安ばっかり増えてって、「あたしを見て」「あたしだけを見て」「あたしを、愛して」っていう想いや欲や寂しさや切なさを込めたつもりです。伝わらないか、俺の文章じゃ。まぁ姉さんの心の不安と葛藤ともやもやと、兄さんの困った感が感じられればよしって方向で。兄さんが「俺も好きだ」なんて言わなきゃまずいと思ってしまうくらい、姉さんを弱く書いてしまって、満足(え、後悔じゃないのか)あたしは弱い姉さん推奨派。ダメな人はまわれーーー右!!