白 カントーに雪が降った。 「…すごい雪だよねぇ…いっぱい積もるかなぁ」 昔は、雪が降ったと大喜びして、みんなで雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりしていたんだ…。 「ねぇ、外行こうよ。レッドやイエローも誘ってさ」 ストーブの前を陣取って、本に夢中な彼。 「……むぅ」 「…あーあ…。あたしも、雪みたく心が真っ白になればいいのに…」 静かな空間、暇なひと時、人肌のぬくもり、外に見える白。 「…雪のように白くなったら、冷たくなるんじゃないか?」 何よそれ。 なんだかよく分からないのに、その笑みと、彼の言葉が、雪のように、ううん、氷のように冷たくなった、白くないあたしの心に、ぬくもりを与えていくようで。 「…意味わかんないし」 2008年1月23日 Fin
意味わかんないし!あたしがわかんないや!結局何を言いたかったんだい!!って話なんですが、まぁようは兄さん、「そのままでいろ」ってことを言いたかっただけです。べつに姉さんの心が白くないといったわけではないのですが、人間の心が雪みたいに白いわけもなく。兄さんを愛し、欲して生きる彼女には、欲という心の黒さが渦巻いている。それを白くしてしまうことは、なんの欲も持たないこと。そうなったら兄さんはちょっと困るわけで。むしろ雪みたいに白くなったら、欲がないどころか、周りに興味を無くすような冷たい人になりそうで、変わらず自分を欲する彼女で居て欲しいと、そんな意味をこめた小説でした。こんなあとがきで補わないと分からない小説なんて最悪じゃ!!まぁ雪が降っていきなり思いついた作品ですから、ご勘弁を。この後おいどははしゃぎすぎて喘息をおこしました。阿呆です。ああああ。
白い空から零れ落ちる、ふわふわした雪は、屋根を、道を、木を白く染め上げていく。
ただ、ただ真っ白に。
雪で臨時休業のジム。
グリーンは久々のお休みに、溜めた本に目を通していた。
「…明日行くのが面倒くさいから勘弁してくれ」
彼は本を読みながら、しかめっ面をする。
「もう」
どうして子供の頃の、あの楽しさを忘れていくのだろう。
いつしか楽しさが面倒くささに変わり、外へ出るのすら億劫になっていく。
まぁ昔からグリーンは、あまりそういうことに参加する方ではなかったけれど、それでもレッドに雪玉をぶつけられては、ムキになって投げ返していたのに…。
「嫌だ」
即答された。
「けちぃ」
そんな彼に抱きついて甘えるあたし。
こんな状況を許すくらい、あなたは寒さが少々苦手。
ぎゅうっと胸に顔をうずめれば、彼の暖かさに、溶けそうになった。
まるで、雪のように。
空も、屋根も、道も、木も、全てを白に変える雪が、あたしの心も、白くしてくれればいいと…ふと呟く。
それら全てが、なんだか感傷的にさせる。
「え?」
本に視線を向けたまま、彼はそう呟く。
「抱きついてると、溶けて消えるかもな」
彼は微妙な笑みを、あたしに向けた。
何が言いたいのよ。
じわじわと、暖かさが広がっていく。
じわじわと、目じりに熱を感じていく。
あたしは顔を隠すように、暖かい彼の胸に顔をうずめれば、彼は優しく、あたしの頭をなでた。
あとがき