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グリブル小説「そのぬくもりを…」
 

 

そのぬくもりを…

 

たまたま、春の特番スペシャルのテレビを見ていたときだった…。

『ねぇタカユキぃー、タカユキってば!!タカユキ!!』
テレビの中の女性が発狂する。
「タカユキィ!!!!」
涙を流し、タカユキと名づけられた男の名を呼び続ける。

そう、女性の恋人が死んだのだ…。

死…。
身近な者の死…。
愛する者の死…。

「おいブルー!」
部屋の扉が開けられ、グリーンがそこに現れる。
「…」
私がぱっと顔を上げれば、
「!?」
すごく驚いた表情をしたグリーンと、目が合った。
「あ、ごめ…ちが…」
私は慌てて目元をこする。

泣いていた…。
ドラマで感動して泣くことは結構あるけど、ここまで心にじーんと来たのは、かなり久しぶりだった。

「おまえ、なんで泣いて…」
彼が私に近づく。
「違うの…。ただドラマに感動しただけ」
そう言って、今まで見ていたテレビを指差す。

テレビでは、死の場面はもうなく、別の話題へと飛んでいた。

なぜ違うと言うんだろう…。
なぜさっき謝ったんだろう…。
なんだかよく分からない…。

「…おまえでも感動して泣くことあるんだな」
その内容を確認すると、彼はそんな言葉を口にする。
「失礼ね!私だって感動して泣くことくらいあります!」
私は目にたまった涙を拭った。

それに何より…

「それに、好きな人が死んじゃったんだよ…」

『タカユキさんは僕たちの中に残してくれたじゃないか』
『よかった、タカユキはみんなの中に何かしら残せたのね』
テレビは流れ続ける。

残す。

「残されたことによって、泣くことがあるかもしれないのに…。残された方は、どうしたらいいか分からないのに…」
この女性はすごく強いと思った。
今まで平然としてきたことができない苦しみ。
今まであったものがそこにない虚無感。
ただ思いだけが残される悲しみ。

私が、もしそうなったら耐えられるのだろうか…。

「怖かった…。あなたを失うかと、思ったら…」

顔を上げて、グリーンと目を合わせる。

あーまた涙が出てきた…。

テレビを見ながら、グリーンが死んだらって考えたら、怖かった…。
必然的に、このドラマのキャラクターに、自分とグリーンを重ね合わせていたのかもしれない…。

「…勝手に殺すな」
そう言うなり、グリーンが私を抱きよせる。
「!?」
まさか抱きしめてくれるなんて思わなくて、一瞬体を強張らせた。
「俺は今、ここに生きている。こうして、ここに生きてるんだ…」
「…」
彼のぬくもりに安心する。
彼の心臓の音に安堵する。
彼の優しさに、安らいだ。

「私…」
彼から少しはなれ、言葉を紡ぐ。

私は…

「私は決して忘れないわ…。たとえ、思い出して泣くことがあっても、苦しむことがあったとしても、私は決して忘れない」
彼をまっすぐ見つめる。
「…」
グリーンはただ黙って、私の言葉を聞いていた。
「…あなたのそのぬくもりを、あなたのその声を、思いを、何もかも…全て。あなたがここにいたこと、私は忘れないわ…」
決して忘れたりなんかしない…。
私はそう言いながら、彼の首に抱きつく。
「…だから勝手に殺すな」
彼は嫌そうな顔をしながらも、私を抱きとめてくれる。
「うふふ。なんかドラマ見て感傷的になっちゃったみたい。ごめんね」
くすくす笑えば、彼ははぁ、と思いっきりため息をついていた。

私は決して忘れないわ。

たとえそれが、自分の苦しみになり、生きるための枷になったとしても…。
それを思い出して、泣くことがあったとしても…。

あなたがいたこと、あなたの存在、あなたの声、あなたの思い…。
全て、全て忘れはしない。

今、このときの幸せを全部…。

決して…
決して…
忘れたりはしない…。

あなたのそのぬくもりを…。

 

2004年4月16日 Fin


あとがき

うががが。死にネタ失礼しました。ドラマがそれだったのでなんかもうこれを使わずして他使えないな、みたいな気分だったので。思わず使ってしまいました(死)あはははは。「ホットマン」っていうドラマスペシャル見ていて思いついたものです。思いっきりタカユキとかぱくりです(笑)ドラマの一部を使ってます。まぁたまたま見ていたらこうなったみたいな。なんでグリーンがブルーと同じ家にいるのか?とかの疑問はそちらのご想像にお任せします。一緒に住んでるでも、会いに来たでもなんでもOKですわ。あははは。まぁとりあえず、私が言いたいのは、ドラマで感動するブルー姉さんがいてもいいかな、っていうのと、そういうので泣くんだとしても、誰かに泣き顔見られるのは実は心の奥底では拒絶してる部位があると思うな〜っていうのを出せれば良かったと思っています。あとは、残されたものの悲しみははてしなく、残したものが多ければ多いほど切なさもますけれど、ブルー姉さんはそれを忘れるという逃げに行くのではなく、ちゃんと最後まで、残されたものを忘れずに、覚えておきたいっていう強さを出すのが目的だったりします。その中に、ブルー姉さんを強くしていく、グリーンがいれば、私の目標は達成できるかな、と思います。以上死にネタながらも、自分の王道を貫き通せて満足しましたって話でした(謎)