好きの数だけ 「グリーンっ」 いったいどうしたのだろうか…。 「ほんとに好きなのっ…好きなんだから…っ」 好きだ、好きだと昔から何回も言われ続けてきたが、こんな、確かめるように言われたことはない。 「…こないだね、女の人が二人で話してる話を聞いちゃったの…」 俺は全然言葉は言うタイプではないが、彼女はよく俺の言葉を欲しがる。 「…でもあたし、ほんとに好きだからグリーンに好きだって伝えたいし、何回も好きだって思うから、何回だって好きだって言うのっ。でも…そうやって何回も言うことで、信用されないのって悲しいなって思って…。ほんとに…ほんとにグリーンのこと好きなのにぃ」 あれ、もしかして、俺の想像とは明らかに違うのか? 「…ふえ?」 あれ? 「…いっぱい言葉を言うと、信じられないのかなぁって、思って…。好きだから好きだって言うのに、それが言えば言うほど届かないなんて悲しいじゃない…」 あぁ、そういうことか…。 「その話、女同士でしてたんだろう?」 2008年6月12日&13日 Fin
ぎゅっと服を掴まれ、いきなり迫られる。
「なっ、なんだ?」
俺は慌てながらそう答えた。
「……」
彼女はじーっと俺を見上げる。
ただじーっと。
「…どうした?」
俺は気圧されながら、優しく彼女を撫でた。
「…好きだよ…」
彼女がぼそりとささやく。
「あ…あぁ…」
俺はとりあえずそれだけを答えた。
「…好き…好き…好きなのっ。ほんとにほんとに好きだからねっ」
今度は泣きそうな顔で俺を見上げてくる。
「あ、あぁ…」
俺は気圧されながら、そう返した。
ぎゅっと彼女が俺に抱きつく。
「…ど、どうした?」
俺は彼女を、優しく撫でた。
「あたしの想いは、ちゃんと届いてる?」
涙目の彼女が、俺にそう問う。
「…わかってるよ…ちゃんと…」
俺は彼女を、優しく抱きしめた。
「…好き…好きだよ…」
彼女は俺の胸に顔を埋め、悲しげにささやく。
「どうしたんだ?いきなり…」
何かあったのだろうか…。
彼女は俺の胸に顔を埋めながら、呟きだす。
「…へぇ」
「なんか、言葉ばっかり言ってる奴が一番信用できないって」
彼女が不安げに俺を見上げた。
「ふーん…」
自分の欲望と、周りの意見の違いに矛盾を感じて不安になったとか、そんなとこか?
彼女は再度、不安げな顔を浮かべた。
「ちょっ、ちょっと待てっ」
彼女は涙目で俺を見上げる。
「俺についてじゃなくて、おまえのことなのか?」
「え?どういうこと?」
彼女は首をかしげる。
「…」
「…?…うん」
彼女は一瞬子首を傾げるが、こくんっと頷いた。
「それって男側に言われてってことじゃないか?」
「…そう…だね…」
そうかもしれない…。と彼女はぶつぶつ言いだす。
「…あと、それって好きでもない相手からって場合じゃないのか?」
「………っ」
彼女は一瞬きょとんという顔をしたが、何かを思い出したのか、一瞬ぴくりと体を動かした。
「好きでもない男が言う言葉が一番信用できないってことなんじゃないのか?」
それって…。
「……」
彼女は一瞬眉間にしわを寄せたあと、
「わぁあああああああ!!」
「っ!?」
と叫んでしゃがみ込んだ。
「…そう…です…」
彼女はしゃがみ込んだまま、ぼそりと呟く。
「はぁ」
俺は笑うというよりもまず、ため息が先に出た。
「…うぅうう…」
「ったく、話を最後まで冷静に聞いてこいよ…」
俺は彼女の頭を優しく撫でる。
「だって!!グリーンに好きだって言った分だけ嫌われてるなんてやだと思ったんだもん!」
うわーん!と彼女はわめく。
「…嫌いになってないよ」
「ほんと?」
彼女は涙目で俺を見上げる。
「あぁ」
俺は彼女の腕を引っ張って立ち上がらせた。
「ほんとね?」
「あぁ」
俺は再度、彼女の頭を撫でる。
「好き…好き、大好きよ?」
不安気に彼女が俺を見上げた。
「好きだ」
そう答えれば、彼女はうれしそうに微笑んだ。
あとがき
すっごいすっごいめっちゃくちゃ単調なお話でした。なんでこんな表現におもしろみもない小説書いたんだあたし。すっげーつまんないぞこれ。兄さん視点にしたのがいけない?兄さんはきっとこうやって簡単に姉さんをあしらってる気がしてならない。いやいやあしらってはいないのだが。あははは。まぁでもほんと何がしたかったのかな、あたしは。
まぁこれは、ボイトレで一緒の子が、好きでもないやつに毎回毎回好きだって言われるのがものすっごくうざい!!!って怒っていたのを聞いて、思いつきました。好きだって言われまくるのがうざいってまさかこうなったりしない?みたいなのが脳内でブルーがいろいろやらかしてくれたんでできた作品だったりします。でもやっぱり、好きな人から言われたらうれしいじゃないってことで、その場もこの話しも丸く収まりました。好きな人から言われるには「好き」って言葉は絶大なんですよね。いやぁそんなことを言いたかっただけなの。馬鹿な姉さんを書きたかっただけです。でもおもしろみない、単調な兄さん視点からお送りしました。(あれ)