食ドキ
 

 

「すまんね、食パンマン」

申し訳なさそうにジャムおじさんが謝る。

「いいですよ。そういうこともありますから」

食パンマンはにこりと笑顔を浮かべ、パトロールへと出かけていった。

 

いったい何をジャムおじさんは謝っていたのか…。

それは…

 

「まぁ!?食パンマン様じゃないですか!」

たまたま食パンマンが飛んでいた下を、ドキンちゃんが通る。

彼女は目ざとく彼に気づき、ハートを目の形に彼の名前を呼んだ。

「おやドキンちゃん、どうしたんですか?」

彼は振り返り、彼女の前に降り立った。

 

が、

 

 

 

 

 

「いやぁーーーーーーーーーーーーーーー」

 

彼女は食パンマンの顔を見るなり、まるでムンクの叫びのような表情になり、まわりに響かんばかりの奇声をあげた。

 

「ど、どうしたんだい?ドキンちゃん」

当の叫ばれた食パンマンは何に叫ばれているのかわからずに、あわてて彼女へと近寄る。

しかし…

 

「いやぁーーー来ないで!!こんなの食パンマン様じゃないわ!!認めない!!うわーーーーん」

彼女は近づいてくる食パンマンを突き飛ばし、泣きながらその場を走って逃げ去っていった。

 

「?」

突き飛ばされて少しよろけた食パンマンは、不思議そうに彼女の後姿を見送っていた。

 

その場に残ったのは、まるでトーストされたかのような少し硬く、バターを塗って今すぐにでも食べたい、少しこげた食パンマンが立っていた…。

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