グリブル小説「戯れにも似た時間」
 

 

「ん?」
うっすらと目を開ければ、スタンドの明かりだけが部屋を照らしていた。

「起きたか?」
上から声が聞こえて見上げれば、本を読んでる彼の視線と交わる。

「…ん」
起きてすぐだからなのか、少し喉が痛いからなのか、あんまり声を出したくない。
「大丈夫か?」
彼が優しく、髪を撫でてくれる。
「…うん」
短く返事をして、頷いた。

「…」
ぱたんっと本が閉じられて、あたしの顔にかかった髪をはらう。
「…ぐ…リーン」
小さく呟いて、そっと彼の手を握った。
「…ん?」
彼も優しく握り返してくれる。
「……」
あたしは何も言わず、指を絡ませた。

あたしよりも、幾分か大きい彼の手は、あたしの手を簡単に包めてしまう。
あたしよりも、一回り大きい指が、あたしの指の間には、ぎゅっと握ると少し痛い。

手の甲を指先で撫でて、指を指で辿って、大きさを比べてみたり、ぬくもりを感じてみたり、指だけを握ってみたり。

そんな、戯れにも似た、安心する方法。

 

 

 

「…どうした?」
くすぐったかったのか、それともただ嫌になっただけなのか、あたしの手を、優しく握り閉じこめる。
「…あたし…こういう時間が好き」
彼の質問に答えているようで、そうでない答え。
「え?」
「…こうして、静かな時間の中で、ぬくもりだけを感じていられるひとときが…」
ぎゅっと彼の手を握り、目を瞑る。

微妙な痛みが、生きてるのだと確信できる。
彼の鼓動とぬくもりが、1人じゃないのだと実感できる。

「……そうか…」
彼も優しく、あたしの手を握り返してくれた。

 

あたしの指の間から感じられる鼓動が、すごく大きく感じられて、彼の鼓動なのか、あたしの鼓動なのか、分からなくなって。
なんだか、より交われた気がして、安心できた。

 

 

 

 

戯れにも似た時間

 

2006年11月12日&27日 Fin


あとがき

久々にグリブル小説を書いた気がするけど、2週間ぶりくらいかな?そんな久々でもない気がする。ただなんかこう、「きた!!」っていう感じで書いたのは久しいのかも。こないだ「背中」を書いた以来かもしれん。まぁ久しぶりの小説は、なんでかエロいものになってしまいました(死)まぁ完全やった後って言いますか、なんて言いますか。交わるなんて言葉使うからどうしようかと思っちゃった。微妙13禁って方向にしておきましょうかねぇ(ええ)いやなんの表現もないんですけどね。想像すればするほどエロにしかならないっていう恐ろしい話しだからさ。お子さまの教育上はなぁってことで(ええ)
まぁなんでこれが「きた!!」のかって言いますと、昨日夏樹様と同じようなことをしてたからです。いややってませんよ?手を絡ませて遊んでただけです。手ってある意味萌え要素で、男女二人が手を絡ませてるってそれはそれですごく萌えると言いますか。なんていうか噛んだり舐めたりとかも、手だとよりいっそう萌えちゃったりなんかしてね。まぁ足でも萌えるって方はいらっしゃいますが。俺はどっちかって言うと手派です。手の甲を舐めるとか萌えます(聞いてない)まぁそんなこんなで一度手をモチーフにした話を書きたいとも思わなくもなかったので(どっちだ)丁度良かったかなぁってネタにしました。
グリブルは、こうやってなんでもない戯れの時間があった方が幸せそうだなって思います。忙しい兄さんが、なんでもない時間を姉さんのために割いてくれる。そういう瞬間って、愛されてるなぁって思える瞬間なんじゃないかなぁって思います。幸せであれ、グリブルよ!!おぉ、珍しくグリブル小説だ!!!(ええ)だから珍しかったのか(そこか)
っていうかタイトル最後に持ってくる小説って久しぶりだ。どこに入れようか悩んで、最後のがお話っぽくタイトルを見れるかなって思ったので、良かったです。わーい!
っていうか戯れっていろんな読み方あるんですね。自分の知識が正しいのか疑っちゃったよ。