友達 グリーンと、久しぶりに一緒に出かけた。 「あれぇ、ブルーちゃんじゃん!」 あ、そういえばグリーンは? 「あっ!?」 いつもは真っ赤な顔をして「やめろっ」とか反応してくれるのに。 「もう、置いてかないでよ!」 どうせ、友達なんて呼べる人なんかいないわよ。 「…はぁ」 何よ、何よ何なのよ。 そんなことを思いながら、ぎゅっとグリーンの腕に抱きついている自分の腕の力を、強めた。 2005年6月29日 Fin
えー姉さん語りをしたらこんなことになりました(えぇ)姉さんって普通の(普通ってなんだ)女の子の友人っていなそうなので。それでこんな話。
一緒に出かけたというには、あたしが勝手についていった、と言った方が正しいのだけれど…。
そんな久しぶりな日の、帰り道だった。
聞きなれない高い声が耳に入る。
「…え?」
あたしは、声のしたほうを振り返った。
「久しぶり。こないだはありがとね」
にっこり笑い、いつぞやのお礼を述べられる。
「あ…えーと」
誰だっけ…たしかこないだ、ポケモン交換した…
「あ、アズサ!」
「何その言い方ぁ。忘れてたのぉ?」
「え、そんなことないけど」
忘れてはいないが、記憶の片隅に追いやられていた。(それを忘れたとも言う)
「久しぶりね。あたしと交換したアチャモは元気?」
首をかしげる。
「え、うん、元気だよ」
彼女とはアチャモを交換したんだったなぁ。
「あたしに送ってもらったゼニガメは元気だよ?」
あぁ、そうだ、カメックスに卵が生まれたから交換したんだっけ。
「そう、よかった」
笑顔を彼女に返す。
「またなんか良いポケモンいたら交換してね」
始終笑顔で話す彼女。
「うん」
同じく笑顔で返すあたし。
「じゃあ、あたしこっちだから」
そう言って、分かれ道をあたしが向かう逆の方向へと向かっていく。
「じゃあね」
疲れた。
いつのまにかあんな遠くに!!
「待ってよ!!」
慌てて追いかけて、彼の腕に抱きつく。
「…っ」
彼は引っ張られてバランスを崩さないように、少し体に力を入れたのが腕から伝わった。
でもそれだけ。
だいぶ慣れたのだろうか。
つまんないなぁ。
少しくらい待ってくれたっていいのに。
「女同士の話は長いからな」
そんなに待ってられんとでも言いたいわけ?
「長くなんかならないわよ」
話すことなんかないもん。
「しかし、おまえに女の友達がいたとはな」
意外そうな顔をしながらそう言われる。
「失礼ね!!」
何よその言い方。
まぁ…
「……さっきのは友達じゃないわよ……」
彼にも聞こえないような小さな声で、そう呟いた。
イエローは友達というか、レッドの彼女で、後輩という感じの言葉がしっくりくる。
もしくは、近所の子供、なんて例えたら怒られるだろうか。
クリスに関しては、シルバーの友人であって、自分とはあまり接点はない。
生きてきた境遇ゆえか、普通の女の子の友達なんて、あたしにはいない。
というか、作る暇がないというか、作るきっかけがないというか、場所がないというか。
あの子もネットで見つけた交換しただけの人だ。
友達と呼ぶには難しい。
まぁだいたい、自分の周りにいるような女の子は、たいていグリーン目当てだし。
なんだかため息出ちゃう。
「……」
「…?…何?」
あたしの頭の上に、グリーンが苦笑しながら手を置いている。
「…いや」
彼は優しく、あたしの頭をなでた。
あとがき
実際は大学の友人というか知り合いが、彼氏もちで、その子に話しかけたら彼氏がさっさか歩いていってしまって、あたしが「ばいばい」って分かれ道で別れたら、彼女が彼氏をあわてて追いかけていたので、「わぁ萌え」ってことでこんなものが出来上がりました(死)すまんね。あははは。勝手にこう日常をネタにしないでいただきたいって感じですよね。あははは。だって萌えちゃったんだもん。あははは。
まぁでも中途半端な終わりやなぁと思われるかもしれません。これは結構わざとです。姉さんは少し寂しいかもなぁと思っていながらも、その寂しさを認めるのが絶対いやだ!と思ってるんじゃないかと思って。悲観的にはなってるけど、それをグリーンにどうこうしてほしいとか、自分はかわいそうだとか思おうなんて思ってないというか。むしろそれがあたりまえで、あきらめに近い感情を持っちゃってるから、いまさらどうにもできないしなぁ。という感じで、あまり寂しいとか、そういう表現はやめたつもりです。でも兄さんに少しほだされて、甘えたくなっちゃってるのはご愛嬌。でもまぁ本当は、グリーンがいればそれでいいんだもんって言わせようとも思ったんですが、それって友達がいないことを寂しく思っちゃってる感じがありそうでやめました。まぁべつに兄さんに助けを求めたつもりじゃなかったんですが、兄さんが姉さんを気にかけてくれたことが、少し姉さんの心を溶かしたようですって感じの終わりなんですよ。そう思ってくださるとうれしいです。