|
彼女は美しくも哀しい孤独な少女。
月下美人
穏やかな春の日差しの中、俺は町の喧騒をゆっくりと歩いていた。
ジムへの帰り道の途中眼に映った一軒の小さな花屋の前で足を止める。
花を愛でる趣味はないが、このまま通り過ぎることが出来なかった。
店の隅にひっそりと置かれている月下美人。
それは俺の良く知るある少女を思い起こさせた。
強くやさしく、そして儚い一人の少女を。
あいつは自分の気高さを知らない。
どれほど強く、また美しいのかを。
確かにあいつには昼よりも夜の方が似合うだろう。
だがそれは、決してあいつが闇を生きているからではない。
あいつの美しさには燦燦と照り輝く太陽よりも、控えめにしとやかに、また妖艶に夜の空に映える月の方がふさわしい。
まだ咲いていない月下美人を見れば見るほど、此花がブルーに見えてくる。
暖かい場所を好み、されど太陽の光を苦手とする。
水は好きだが、やり過ぎては萎れる。
手間がかかり、わずか数時間で散る。
そして、決して昼には咲かない美しい花。
月を愛す花。
そんな月下美人に。
ブルーもまた。
まどろみを好むが、それに浸ることを己に許さない。
愛されることを望んでいるが、それを信じきれない。
どれほど愛しても、完全に俺のものにはできない。
そして、決して人を裏切れない優しい少女。
人を愛す少女。
そんな彼女だから。
きっと此花はブルーのもとで花開くことを夢見ているのだろう。
なぜかそう思い、迷うことなくその花を買う。
柄にもないことをしている自覚はあったが、此花がブルーのもとで花開く瞬間を想うだけでつかの間に幸せに浸れる。
きっとブルーの美しさにも、月下美人の美しさにも、誰もが見惚れることだろう。
まっすぐブルーの家に来たのはいいが、なんと言ってこれを渡せばいいのだろうか…。
逡巡していると後ろから声を掛けられた。
「グリーン?貴方何やってるの?人の家の前で」
振り向かずとも、首を傾げて俺の方を見ていることが分かる。
初めて愛しいと想った少女。
「お前に渡したいものがあって…」
そう言って振り向くと、想像したとおり、首を傾げ不思議そうに俺を見上げるブルーの眼があった。
そしてブルーは俺が手にしているものを見て、美しい光を宿すその双眸を見開いた。
「また何か貴方に似合わないものを持ってるわね」
俺が黙って差し出すと、ブルーはまた首を傾げながらも受け取った。
「月下美人?私この花好きよ」
「やる」
一言告げ、その場を去ろうとしたら慌てた様子でブルーが俺を引き止めようとする。
「やるって…。
どうしたの?この花。…まさか貴方が買ったの?」
どういうこと?と問いかけてくるブルーにため息をついてみせる。
「本当にお前はうるさい女だな。
人の好意を黙って受け取ることが出来ないのか?」
そういうとキョトンとしたブルーだったが、やがて静かに微笑んだ。
まるで月下美人が花開くかのように。
「私、今まで月下美人の花を見たことないの。
これは咲くかしら?」
「大丈夫だ。咲く」
「そうね…。貴方がくれたものだものね。
ありがとう。うれしいわ」
そう言ってまた静かに微笑む。
そんな彼女を見つめながら心に誓う。
俺は月下美人をやさしく包む月光になろうと。
ブルーを常に傍で支える者になろうと。
彼女の苦しみを肩代わりすることは出来ないから。
せめてブルーが雨に打たれるときは共に。
嵐に巻き込まれるときは共に。
そして、彼女がこの世から去ろうとしたときは、この世に繋ぎとめる楔に。
彼女のこの微笑を守るために己のすべてを賭けようと。
彼女に巣くう絶望的な孤独から解放するために。
霽月蓮 離流様にいただきました!!!!
まさか誕生日にもらえるなんて思っていなかったのでハイパー的に嬉しいです!!!本当に萌えでした萌え!!激しい!!(ええ)ここ最近話って言ったら18禁チックな話ばっかりで(死)すっごい新鮮でしたー。あー愛だね気分で激しく萌えておりました。本当にありがとうございます。なんかこう、20歳にしてすっごい純粋になれた気分でしたね。ありがとう。
っていうか本当すごいですよね。月下美人。こんなのテーマにできねーよ俺。あああ汚れているOTL。うう。しかもこうグリーン視点っていうのが激しく萌えです!!はげっしい!しかもなんか本当グリーンがブルーを愛してるよ〜チックで激しく萌えます!!!こないだの秘めたる情熱家疑惑あたりからこういうネタ好きです。
やっぱり離流様すごいです!!!こんな奴のために小説ありがとうございました!!!しかも2作も!!!2作目も是非とも読んでください!!素晴らしいです!!!本当にどうもありがとうございました!!
次回も楽しみに待ってます!!(おい)あははは。
俊宇 光
|