この花が咲いたなら
君に伝えよう
私の想いを 私の願いを
「・・・何をしてるんだ?さっきから。」
ある晴れた日の庭先で、長い間花壇の前を動かぬ少女にレイヴンは近づき、声をかけた。
声をかけられた少女ーリーゼは彼が後ろに立つ気配を感じ、ちらっと後ろをふり向いた。
だが再びその顔を花壇に戻す。その視線は足元に注がれていた。
レイヴンもその方向を見る。すると、そこには背の低く小さな、赤や黄色、青の可愛ら
しい花々が均等の幅で列をなして咲いている。その愛らしい光景に心がなごむ。
「綺麗だろう?今日見たら咲いてたんだ。・・・何て花かわかる?」
ふいにリーゼは振り向き、子供のように無邪気な笑顔を浮かべ、レイヴンに問い掛けた。
だが、花の名前など兵士であったレイヴンにわかるはずもなく。
「・・いや。わからない。」
彼は素直にそう答えた。
リーゼがレイヴンと暮らしはじめてから少し経った頃だろうか。彼女は花を育てるよう
になった。もともとその才能はあったのかなかなかの腕前で、雑草が伸びて荒れ放題
だったレイヴンの家の庭をあっというまに見事な花壇と菜園に変えた。その時レイヴン
は思わず関心したものだ。リーゼも彼女の相棒の青いオーガノイド、スペキュラ−と共
に心底嬉しそうにはしゃいでいた。
そしてリーゼはスペキュラーと共に花達の世話をしながら時々植物の話をしてくれたり
するのだが、レイヴンにはよくわからなかった。すぐに忘れてしまうのだ。その度に彼
女はあきれながらも何度か繰り返して教えてくれる。だがそれでも限度はあって。
”僕の話聞いてる?”そう言ってついにリーゼはすねてしまう。彼は、聞くには聞いて
いるのだが別の事に集中してしまうのであった。
すなわち、花の事を聞くより、楽しそうに語るリーゼの顔ばかり見てしまう。
その事をおそらく・・お前は知らないだろうな。レイヴンは苦笑する。
「もう・・何度も言ったのにな。僕の話聞いてるの?」
リーゼのすねたような口調にレイヴンはまた、素直に謝った。
「すまない。・・どうも俺に花の名前は難しいようだ。」
「ゾイドの操縦は簡単にできるのに?レイヴンってやっぱり変わってるよ。」
人の気も知らないでー思わず出しかけた答えを飲み込んで、代わりに彼は言った。
「なら、そんな俺と一緒にいるお前も変わっているということだ。」
思わぬ反撃にリーゼは驚き、何かを言いかけたが−くっとそれを飲みこんだ。首を横に
二、三回激しく振る。
「・・ああ、違うよ。君とそんな事言いたいんじゃないんだ。」
そうして一つ、深呼吸をする。それから顔を上げ、じっとレイヴンを見つめた。
彼女の変化にレイヴンは少々戸惑ったが、やがて彼もじっと彼女を見つめ返し、次の言
葉を待つ。
「あのね・・パンジーの花言葉・・・・・わかる?」
しばらく見つめあう時間が続いた後、リーゼが問い掛けた言葉に。レイヴンは無言のま
ま、首を横に軽く振った。
「”私を想って下さい”・・・って言うんだって。」
そう答えるリーゼの顔が徐々に赤くなっていく。心臓は早鐘のように激しく鼓動してい
た。落ち着こうとすればする程あせってしまう。
だが、レイヴンから視線をそらさずにリーゼは言葉を続ける。ありったけの勇気を振り
絞って。
「いつもいつも・・・。僕はレイヴンに聞いてばかりで。その答えを待ってばかりだか
ら・・。今度は僕が言おうって思ったんだ。・・・この花が咲いたらって。そう決め
て・・。」
いつも弱虫で、不安で。自分から動き出せなかった。君はいつだって、自分の気持ちを
伝えてくれたのに。
今度は僕から君に近づいていこう。・・僕の想いを伝えたい。僕の真実を届けたい。
必要とされることばかり求めてたけど。好きでいてくれる事を願っていたけど。
・・・・・それだけじゃ駄目だよね。
自分の気持ちを伝えなきゃ。今、言いたいのは。
僕は、君の、事を・・・・。僕の、望みは・・・。
「僕は・・・レイヴンが好きだよ!ずっと一緒にいたい。だ、だから・・・・。ぼ、僕
の事好きになって!!」
君が好きです
僕を想って下さい・・・想って 下さい
半ば無我夢中で全てを告げた後。リーゼは急速に身体から力が抜けていくのを感じた。
足に力が入らない。眩暈がする。
レイヴンは無言で彼女に近づき・・彼女を抱きしめる。その華奢な身体を受け止めて、
自分の胸に押し付けるようにして強く抱きしめた。赤く染まり熱を持つその耳元に囁く。
「・・告白して倒れるんじゃない。」
「だ・・だって、すごく心臓がドキドキして・・・。」
リーゼはまともに顔が見られずに、胸に顔を埋めたまま答えた。彼女のそんな姿を見て、
レイヴンはその衝動を必死でこらえていたがついに笑った。その顔に穏やかな笑顔が浮
かぶ。
おかしいからじゃない。レイヴンは嬉しかったのだ。こんなに顔を赤らめてまで言って
くれた、その想いがたまらなくー嬉しかった。
「お前からそんな言葉を聞けるとはな。」
「な、何で笑うの?!何か言葉、へ、変だった?!」
すっかり意識が混乱してしまったリーゼは、めったに笑わない彼が見せる笑顔の意味が
わからないらしく、自分は何か間違ったのだろうかと泣きそうな顔になる。
「いや、違う。・・・・嬉しかったんだ。お前の言葉が。」
誰かに想われることが、必要とされることがこんなにも嬉しいなんて気づかなかった。
・・いや、頭で理解していても実感として感じるのは違う。密かに聞きたいと願ってい
たその言葉。それを聞けるというのは、こんなにも心地いいものだった。
「嬉しい・・って、言ったの?本当?」
いくらか落ち着いたようでやっと顔をあげたリーゼの瞳に、レイヴンの微笑が近づく。
そして彼女のまぶたに柔らかく暖かいものが触れる。
優しいキスの後、レイヴンは少しかがんで彼女と目線を合わせる。リーゼの顔を両手で
包み込み、額を彼女のそれに合わせる。
「・・・・もう一度、言ってくれないか?」
そう言った彼の心臓は、次第に鼓動を速めていく。今度は彼が勇気を振り絞っていた。
もう一度 聞かせてくれ
お前の想いを その願いを
リーゼは真近にあるレイヴンの顔と、両手から伝わる温もりにまた心臓が高鳴っていく。
だが、今度ははっきりと。一つ一つ噛み締めていくように、ゆっくりと彼女は、言った。
自分の手を彼の手に重ねながら。
「・・・レイヴンが好き。・・ずっと一緒にいたい。僕を好きになって・・・。」
するとー再びレイヴンは顔を近づけてきた。そして今度はリーゼの唇に柔らかな感触が重
なる。
今度は長く、深いキスだった。
触れ合った箇所から、彼の想いが伝わってくるみたい。・・あたたかい。
そう思いながらリーゼは瞳を閉じた。
そうして長いキスをした後、リーゼを抱きしめながらレイヴンは言った。
「・・その願いなら、もう叶っている。俺はお前を手放す気などない。」
すでに俺は。お前を想っているーどうしようもないほど。・・・・止めることなどできな
い。
「・・・俺は、お前に傍にいて欲しい・・俺を想って欲しい・・・リーゼ。」
大切にしたい・・守りたい。・・狂おしいほど求めている。いつだって。
俺を 想ってくれ
その言葉を 俺も伝えたい
愛しい お前に
「レイヴン・・。」
嬉しいーそう言ってリーゼはレイヴンの背中に腕を回して抱きしめる。
やっと・・・一つになれた気がする。僕の想いが伝わって。君の想いが伝わって。
おんなじこと、想ってたんだね。あまりに近くて気づかなかったんだ。・・何だかおか
しいね。そう思い、小さく笑う。
「・・何を笑ってる?」
見られないようにしたのに、彼は気づいたようだった。さっきの言葉はやはり恥ずかし
かったのか彼の顔は少々赤くなっていた。すねたように見えるのは照れているんだろう
か。さっきの僕みたい・・なんて思ったら変かな。
「嬉しいんだよ。すごく。・・・レイヴンの言葉が。」
言った後で、さっき同じ事を彼が言ったのに気づいた。彼も気づいたようで少し驚いた
ようだった。
ああ、本当に嬉しいや。想いが伝わるって、願いが叶うって嬉しいね。すごく。
「レイヴン、大好き。・・ずっと傍にいてね。」
ー想っていてね。僕は君をずっと想ってる。ー
今度は素直に、自然に言えた。あんまり嬉しくて緊張しなかったからかな。
「・・・俺も・・・。」
ーお前を想っている。ずっと傍にいて欲しいー
レイヴンは言葉の代わりに。片手でリーゼの顔を上にあげる。そうして。
二人は再び長い、キスをした。
花が咲いて
想いが通じたから 願いが叶ったから
私は嬉しい とても 嬉しい
私を想って 君が好きです
この花は 君を想って咲いた花 君に焦がれて咲いた花
そして今 私の想いは届いて 君の想いが伝わったから
今 鮮やかに 咲き誇る 鮮やかな 愛に染まって
ずっとー
*********************************************************終*************************
俊宇様こんにちわ!!約束のものできたんでお届けします!
しかしこれ、ゾイドでレイリ知らん人には何が何だかわからないと(大汗)すいません!!
こんなのしか書けません!(><)
ああ、超誇大妄想暴走してます。ごめんなさい!!(TT)気にいらなかったらもう捨
てて下さい〜!!
これで二人に興味もってレイリの輪が広がるといいなあ・・なんて(お前の駄文じゃ無
理だな)はうう(T△T)影の私が〜!
パンジーの花言葉は色々あるらしいんですが、”私を想え”というのが一番みたいで。
ただ好きってだけでなく好きになって!みたいなこう強気な命令形の感じが可愛らしい
花の姿と妙に合うかなって気に入ってしまい、この話を作りました。
私の勝手なその後設定では、リーゼは園芸を趣味にしてます。(−−)
レイリは結構、似たものを求めてるんじゃないのかなと。100%じゃないですが。
でも似てるからこそ見えなかったり、気づかないのってありますよね?だからこう背中
合わせみたいにはがゆい二人を正面に向かせてみよう!!と。
リーゼってまじで”好き”って言ったことはないんじゃないかって思い、告白させまし
た!”独りにしないで”みたいなおねだり形じゃなくてありのままの自分の気持ちを言
わせたかった。しかし何か失敗したかも(滝汗)結局おねだりしてるみたいになった(汗)
レイヴンもこう大胆にね、行動でありのままの気持ちを示してもらいました!しかしや
はり彼は難しい!!(><)こんなの二人じゃないわ!!と思ったらすいません、私の
力不足です!!(てーか思うだろ!)だああすいません!
私は色んなパターンで二人を書いてるので、その都度設定とか変わったりしてます。
基本は同じ・・・だと思うんですが。
こんなレイリはどうでしょうか?(ドキドキ)素材がいいからいくらでも料理しがいが
あるというか(何言ってる!?)
何かお好きなレイリってどんな感じですか?レイヴンとリーゼってどっちが主導権握り
そうだろ?未だにさまよってます(アホ)
だって素材が〜(以下強制終了)よければお好きなレイリを教えて下さい。すっごく遅
いですが頑張りますんで(><)
私は基本的にレイヴンが強い場合が多いんですが(笑)言葉が・・彼は言葉が足りない
から(苦笑)
とにかくできましたんで!よかったらどうぞ!!よくなかったら・・・すみません(−−)
では!失礼します!!長くてすみません!!またよろしければ感想など下さい。では。
初心者より