〜願わくば空にさらわれぬ青でいたい〜
深く澄み渡った青い空。 フワっとそよ風が緑の草原を撫でる。 果てしなく広がる緑と青の交わる海。 アタシはこの場所が苦手だった。 アタシが空にさらわれた、この高岳が…
グリーンがこの場所を好きなのは知っていた。 この場所に来ると、どうしてもあの日の事を思い出すからだ。 グリーンには話していなかった。 だからこそ、彼はここに来る。 『いやぁぁぁぁぁっ!!』 アタシが巨大な鳥に追いかけられている。 必死に逃げても無駄。 だから、毎回捕まってしまう所で、夢は終わっていた。 『こないでっ、いやぁっ!!』 これは…今のアタシ? 目の前には空しかなくて。 『いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』 青しかない世界。
「いやぁぁぁっ!!」 「!?」 あまりの恐怖でアタシは飛び起きた。 「……っ」 今度は息が吐けなくなって。 でもこの場所の空に溶け込むならそれでも構わない気がした。 「ブルー!?」 誰かがアタシの名前を呼んでいる。 そう考えていると、唇に暖かい感触が触れて… 段々と息が楽になってきた。 「はぁ…大丈夫か?」 唇から暖かい感触が離れ、 「ん…ぐ、りーん…?」 アタシがそう呟くと、グリーンは怒ったような、ホッとしたような表情を浮かべた。 「…俺に無断でどこへも行くな。」 彼の怒ったような低い声。
深く澄み渡った青い空。 フワっとそよ風が緑の草原を撫でる。 果てしなく広がる緑と青の交わる海。 アタシはこの場所が苦手だった。 アタシが空にさらわれた、この高岳が…
空は相変わらずどこまでも青くて。 でも、こんな青を必要としてくれる緑が居る。 ここから見える青と緑の交わる海は、アタシを繋ぎ止める彼。 アナタがアタシを求めてくれる限り、
「ねぇグリーン」 「…何だ?」 アタシを突き放さないで、優しく顔を覗き込んでくれる彼。 「なんでグリーンがキスしてくれたら、楽になったのかしら、って。」 アタシの問いに彼の顔は微かに赤に染まる。 「お前の症状が過呼吸だと思ったからな… 彼の言葉に今度はアタシが赤くなる。 二酸化炭素を吸えば。 人の吐く息は二酸化炭素。 「……お望みなら、いつでもするが?」 「……バカ。」 晴れ渡る青い空。その青空の下に2人の男女。 〜おまけ〜 「夕暮れ…綺麗。」 赤く染まり行く夕焼けに、ブルーはうっとりと目を細める。 「もうこんな時間か。帰るぞ。」 グリーンが立ち上がると、強引にブルーの手を引き、歩き出した。 「(そう言えば、毎回夕方はここには来ないわね… ブルーは首を傾げるも、繋いだ手の平から伝わる温もりが嬉しくて、小さく微笑む。 「(青が赤に染まるところなんて見たくも無い)」 空の青をブルーに、夕方の赤をレッドに重ねて、グリーンはムッとしていた。
「ねぇグリーン。」 「…何だ?」 夕焼けの小道。 「好きよ。」 赤に染まる青と緑の瞳。 「…俺もだ。」 その影は向かい合い、ゆっくりと1つに重なった。 「ずっと、な。」 「大好きよ… 彼女の言葉は彼の唇に塞がれ消える。 藍色に染まる夜空。
END。 はい、すみませんと言わせて下さい!
雪野様にいただいた作品第2弾でした。載せるのが遅くなってしまって本当に申し訳ないです。もう半年もたってしまいましたが、本当に感謝ばかりはいつまでたっても忘れてませんので!! 今回いただいた作品は姉さんの弱さを思いっきり出してくれた作品でした。姉さんが弱いのが、あたしはものっそく好きなので、読んでいてうはうはしました!!もうとにもかくにも兄さんがすっごく姉さんを愛してるのが萌えです!!これくらいうちの兄さんも愛してくれたらいいのに!!! 本当にどうもありがとうございました!!! 俊宇 光 |