微妙なカップル
 

 

微妙なカップル

 

「なぁティト、おまえの好みのタイプってどんななの?」
俺は、授業の後の休み時間で一緒になったティトに、話しかけた。

ここは人通りの少ない自販機置き場(あるのか)
自販機で飲み物を買い、立ち話を始めたところだった。

「…なんだよいきなり…」
あからさまにいやな顔をしながら、彼は答える。
「いんや、なんか気になっただけ。いちお女の子に興味があったんだなーって思ったからさ」
つい最近できたらしいティトの彼女。
最初はすっごくびっくりした。
あのティトに彼女ができるなんて。
それを見て、あーティトも女の子に興味あったんだな〜って思ってさ。
「おまえ何気に失礼なこと言ってんじゃねーよ」
わぁ、怒るなよ(汗)
「まぁまぁ、で、結局どういうのが好みなわけ?」
彼女と、自分の好みが一緒、って人はかなりまれだろう。
ティトにもそれなりに理想のタイプっていうのがいるのかなーと疑問に思ったからの質問だ。
あのティトの好みなんて、俺には想像がつかないからね。

そんなことを考えながら、思わずくすりと笑みが浮かばせる。
想像ができない=どこまでも想像ができるということでもある。

「何がおかしい」
俺の笑みに気づいたのか、訝しげな表情でティトが言った。
「いやいや、気にしないでくれ。で、どういうのが好みなわけさ」
これ以上妙な想像を膨らませたくなければ、早く答えてくれ。

「…好み…」
彼が黙り込み、うーんっと言い出しそうな感じで考え出す。
そんなこと考えたことなんかなかったか?

「…女の中の女みたいな、やたらお嬢様系っていうのか?あと天然とかいるだけですっげーあぶなっかしいような…」
そうどんどんティトは項目をあげていく。

ちょ、ちょっと待ってくれ…(汗)

そうは思っても、ティトは言葉を練っていく。
俺には信じられない言葉がティトの口からつむがれていくことに、俺は固まらざるおえなかった。
だが俺が固まってる間も、ティトはいくつかの好みらしいタイプをぶつぶつと言い出していた。
固まっていた俺には、ほとんど聞こえていないが。

っていうか本当に待ってくれティト。
おまえは、じつはそういうのが好みだったのか!?

顔がまず正常に保てない…。
考えがうまくまとまらない。

俺が10年見てきたティトからは、とてもじゃないが想像がつかない彼の好み。
じ、じつはそういうタイプが好きだったのか!?
そ、そうか…そうなんだ

 

 

 

 

「ちょっとティト!!!」
がばっとティトの後ろから、彼の彼女のフィーリーが現れる。
俺もびっくりしたが、ティトも一緒にびっくりしていた。

まずい。今の話、聞かれただろうか…。
少なからず、今のティトがあげた好みって、申し訳ないが、確実にフィーリーに当てはまるものとは思えない…。
も、もしかして修羅場になるか!?ここ…。

「ねぇそれってどういう意味よ!?っていうか私へのあてつけ!?ぜんぜん当てはまってないじゃん!どうせ私は女の子女の子しているような子じゃないしさ、エルナみたいに天然ってわけじゃないし、うるさいしがさつだし、ぜんぜんかわいくないけど…」
一息でそこまで言い切ると、フィーリーは彼の服をつかみ、そのままうつむく。

「私を見てよ…」

 

 

 

彼女はそう、小さくつぶやいた。

 

 

妙な沈黙が痛い…。
ここに誰もいなくてよかったと思ったが、誰もいないがゆえに、俺がここにいるのがものすごくいたたまれない雰囲気である。
ティ、ティト、なんでもいいから何か言ってくれ…。

「…俺の好みは…」
やっと口を開いたかと思えば、さっき言っていたっぽいことを繰り返して彼が言い出す。

おいおいティト、今それはさすがにまずいんじゃ。
何か言えとは思ったけど、言う内容を考えてくれ!!

俺はあたふたしながら彼らを見守る(見守るだけなのか)

そしてひとしきり言い終えたらしいところで、ティトが一言。

 

 

 

 

 

「じゃない、やつが、あえて言うなら好みだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は?

「…え?」

 

 

フィーリーも俺と同様な反応を返す。

だって、おまえ今、「じゃないの」って言ったか?
つまりは好みのタイプをあげるより、じゃないやつをあげることで消去法にしたってことか?
おいおいおいおい

 

 

 

 

紛らわしいんだよ、コノヤロウ。

「…バーカ」
そうティトが不敵な笑みを浮かべて、彼女の額を小突く。
そのままティトはその場をあとにした。

あーやべ、そろそろ次の授業が始まる。
遅刻するとエルナがうるさそうだ。

とりあえずそこに残ったのは、真っ赤な顔をしたフィーリーと、妙にきまずい俺。

 

あはは微妙(汗)

「…」
顔を上げたフィーリーが、俺と目を合わせる。
「…じゃ、じゃあね」
彼女はさらに顔を赤くすると、その場をそそくさと逃げていった…。

なんていうんだろう、あの二人って、すっごい微妙なカップル…。
でも、見てておもしろいかも。

 

2003年5月19日&20日&6月5日 Fin


あとがっき

ども、光でごあす。終わった。そしてくだらね。でも笑う。うけけ。まぁ沙耶ちゃんには漫画にしてもらうのは却下されましたがね。まぁぜんぜん甘くないっすからね。でもこのティトが笑う。実際のティトさんは絶対こんな趣味じゃないですからうけるんですよ。あのティトが〜〜〜みたいなね。壊れたトアの顔とか見てみてかったな〜。あははは。まぁフィーリーさんの勘違いでの言葉とか好きです。あははは。まぁでもさ、ティト、もしかしてフィーリーがいること気づいてやってたなら相当策略家だぞ。まぁありえないんだろうけど。不可抗力ってもんだろうけどね。ティトってたまにどっかぼけてるよね。阿呆くさいっていうか、妙なジョークを飛ばしそうな。なんだろう、ディアッカっぽ(待て)あははは。まぁそんな風に思えたのでたまにはそういうことしてもらってもいいかな〜気分でね。
それにしても今回もトアさん視点ですわよ。なんでなんだろうな〜。むぅ。まぁとりあえず、今回のトアは前回の作品のように黒くないので安心しました。前回のは黒すぎて困りましたね。うむ。まぁトアは健全白でいこうよ!ね!うん。
まぁそんな感じでできあがったものでした〜。日常のほのほ〜ってね。あははは。