魔法使いが人間になれた日まえがき
 

エピローグ

 「おじゃまします」
ウィッチが静かに入ってきた。
「あれ?ウィッチさん。今日は1人なんですか?珍しいですね」
ウィッチの姿を確認すると、にこにこ笑って、メサイアは言った。
「たまには、女だけの話がしたくなるのよ」
そんな事を言って、椅子に腰かけた。
「うふふ」
あの時以来、ウィッチはなんだかメサイアによく相談に来る。もちろん恋の悩みで…。
「それにしても、結局行っちゃうんだから、なんだか全然変わってないよねー」
辺りを見渡して、バズラがいない事を確認して言う。
「いえ、そうでもありませんよ?」
にこっと笑って、嬉しそうにする。
「そうなの?」
疑っている顔。
「えー」
にこっと笑ったまま返事をする。そんな時、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
慌てて扉を開ける。
「郵便でーす」
そう言って、一枚の手紙を渡してくれた。
「どうもありがとうございました」
丁寧にお礼を言って、扉を閉めた。
「誰から?手紙なんて、珍しいね…」
不思議そうな顔で聞く。
「うふ。ナイスタイミングです。これが、前との違いかな」
そう言って、差出人の名前の所を指差した。
「あ!へー、あいつ、手紙なんか書くようになったんだー」
めっずらしーと言わんばかりの言い方をする。
「うん。こっちからは送れないけど、向こうからなら送れるから、って…」
「なるほどねー」
納得する。
「うふ」
ふと、笑みを浮かべる。じつは、こんな会話を交わしている間に、もう一つの変わった事を、思い出したのだ…。でもそれは、ひ・み・つ。
「何笑ってんの?嬉しそうじゃない…」
からかい口調で聞く。
「べつに」
にこっと笑って言う。とくに否定するつもりはなさそうだ。
「あー何か隠してるなー。教えろー」
ウィッチはメサイアに抱き着いた。
「えへへ」
「教えなさいよー」
「秘密ですー」
「こっのー」
そんな事をしながら、ずっと遊んでいた…。

 この世界のどこかで、彼は旅を続けているだろう。終わりのない旅を…。でも、そんな彼を、ずぅっと待ち続けている少女がいる…。
 きっと彼女は、どこかで風に吹かれている彼を、ずっと、ずっと、ここで…待ち続けているだろう…。いつまでも、いつまでも…。

         魔法使いが人間になれた日―番外編―〜ずっと待ってる〜  おわり

 

「無謀な挑戦。20世紀、最後の作品を残そう!!」

 

    原作者       竹井 光

    挿し絵       俊宇 光(ここにはないです。いずれアップするかも?)

    製作日       2000年12月28日〜2000年12月31日

    製作日数      4日…

    構想年月      はかり知れなーい…おそらく2年くらい…。

    ご協力       結城 沙耶様