魔法使いが人間になれた日まえがき
 

プロローグ

 ここは、人里離れた山の中。バロックスという、小さな村があった。
 その村の一角に、小さな小屋がある。
 そこには、それはそれは美しい少女が住んでいた。
 なんでも、神に使える身だった、という噂があるが、村人達は誰も問いはしなかった。
 その少女は、2つ上の少年と住んでいるらしい。
 でも今、少年はそこにはいない。
 明日も明後日も…きっといないだろう…。
 それでも、少女は待ち続けている。ずっとずうっと。

 「ん、んーーーー。いい天気」
少女は背伸びをして窓を開けた。
 何故、少女は待ち続けなければならないのか。
 何故、そんな噂のある少女がこんな所にいるのか。
 それにはとても長い…長いお話しがあるのです…。それは、2年も遡らなければなりません。
 少年と、少女との出会い。彼女が、ここで待たなくてはいけない理由。
 すべてはそこから始まっている。
 そのお話は、別の機会にお話しましょう。
 今回は、そんな少女と少年の、お話です…。