クリスマスバトル 前編 「むーかーつーくーー!!!」 そう、毎度のことだ。 「…喧嘩じゃないもん!!そうよ!あいつは喧嘩とも思ってないのよ!!」 まず最初はこんな感じだ。 「…で、今日は何が原因なんだ」 「ねぇ、24日と25日空いてる?」 そうなのだ。 「だからって何もクリスマスにやることないじゃない!!!」 そうやってあたしが悪戦苦闘して、なんとか納得させようと努力してるのにぃ。 「たのもー!!」 これでクリスマスの予定はおじゃん。 クリスマスを過ぎればまたチャレンジャー三昧。 「っ…グリーンのバカ!!!」 「と、いうわけなのよ!ひどいと思わない!!!」 なんだか泣きそうになる。 「グリーンはポケモンが恋人なんだわ」 そう、分かっているのだ…。 「ようはさ、一緒にいたいんだろ?」 そう、その日から始まったのだ…。 2004年12月24日 Continued
ごめんなさい(おい)とりあえず姉さんのはちゃめちゃぶりと、兄さんへの異常なる愛を感じ取っていただければ目的は達成です(死)あははは。後編に続く。
あたしは思い切りレッドの家のドアを開けて、そう叫んでいた。
「…いきなりやってきて開口一番がそれって結構困るんだけど?」
案の定、この家の主は困ってるわけで。
「だってむかつくんだもん!!」
あたしは許可も得ずに、勝手に家に上がり込んだ。
「…なんだよ、また喧嘩したのかよ」
はぁと彼はため息をつく。
グリーンと喧嘩するたんびにこうやってレッドに愚痴りにくる。
男の意見を仰ぐには、こいつに話をするのが一番手っ取り早いからだ。
うわーんっと机に突っ伏した。
「はぁ。よしよし」
レッドは思いきっりため息をついて、あたしの頭を撫でる。
あたしがぎゃーぎゃー騒いで、あたしが落ち着くまで待つ。
そして落ち着いたら愚痴をつれづれと聞かせていく。
これが毎度の繰り返しだ。
落ち着いたところで、彼が話を切り出した。
「…聞いてよレッド!!!」
「…」
聞いてるよ、と彼は心の中で思う。
「…あいつってば!」
あたしのあなたの予定表にはばっちり空いてる印がついている。
それを分かっていて、最後の確認をするのだ。
「…24と25?……あぁ空いてるが何かあんのか?」
彼は何事もないように返事を返した。
「…クリスマスだよ?知らないの?」
ほんとイベントごとにはうといんだから。
「…クリスマス?」
一瞬彼が考え込む。
「…そう、クリスマス!でね…」
「あぁやっぱり空いてない」
「えぇ?!なんでよ!!!」
あたしの言おうとした言葉を、遮ってまで返してきた言葉はNO。
どういうことよ!!
「クリスマスなんだろ?だったら人が来なくてちょうどいい。ここ最近チャレンジャーが多かったからな。片づけが全くできてないんだ。この機会を逃したら、大掃除の時に大変な目にあうしな」
そう言って、いきなり片づけを始め出す。
みんな今年中にバッチをゲットしようと、毎日のようにひっきりなしにチャレンジャーがやってくる。
年末大忙しのトキワジムは、グリーンの休みさえも削っていた。
そんな中、唯一の休みのこの二日に、あたしはずーっと期待を馳せていたというのに、どういうことだ!
そりゃ忙しいのは分かるし、大掃除の時に大変になるのも分かっているけど、だからって、
そうよ!!!
恋人達のイベント事に、彼女をほったからしてジム仕事?!冗談じゃないわよ!!
「クリスマスだからやるんだ」
そう言って結局取り合ってはくれない。
「……むぅグリーンってば!!」
どうしてもその日は一緒にいたいのに!!
してるのに、してるのに、してるのにぃ!!!
こうなんともタイミング良く(悪く?)挑戦者がやってくるわけで。
「はぁ。ほら、バトルをするからあっち行っててくれ」
そう言って結局あしらわれる。
せっかく空いてるだろうと期待していたのに、空しくもその期待は裏切られたのだ。
年末は大掃除に追われ、年始は正月だなんだと大忙し。
じゃあ何?結局あたしはずーーーっとグリーンとは一緒にいられないってこと?
そう言って、あたしはジムを飛び出してきた。
うわーんっと再度机に突っ伏す。
「あぁ、はいはい」
再度レッドがあたしの頭を撫でた。
「あいつあたしをなんだと思ってんのよ!!あたしよりも仕事を大事にするんだわ!!今だったら絶対「あたしと仕事どっちが大事なのよ!」って聞いたら真顔で「仕事」って答えるのよ?!絶対そうに決まってるわ!!!むかつく!!!ふえーん」
悔しい悔しい悔しい!!!!
「あぁ、はいはい」
「レッド聞いてるの?!」
さっきから同じ返事ばっかり。
「聞いてるよ。クリスマス一緒に過ごせなくなったんだろ?」
要点だけしか聞いてないでしょう、もう。
「…ここ最近まじめに会話もしてないわ…」
会ってもいないし…。
会ってもすぐ仕事に戻っちゃうし、話しかけても相づちも打ってくれない。
「結局グリーンは、あたしなんか居なくなったってどうでもいいのよ」
こんなに不安に感じてるのに、あいつはあたしのことなんとも思ってない。
長期間会わなかろうが、話をしなかろうが、それどころでないのだ。
頭の中ポケモンとバトルでいっぱいなんだわ。
「…そんなことはないと思うけど…」
曖昧にしか否定ができないそんな状況。
グリーンがあたしのこと、なんとも思ってないことくらい。
もし私が100%好きなら、彼はあたしのこと、1%も思ってない。
分かってはいるんだ…。
分かってるからこそ、こういう恋人達のイベント事で、らしいことくらいはしようと思ったのに…。
じっとレッドがあたしを見る。
「…うん」
あたしはこくんっと頷いた。
「だったらさ、片づけを手伝ってやればいいじゃん。一緒にはいられるだろ?それに1人でやるよりも、二人でやる方が早く終わるだろ?そうすれば24日は無理でも、25日の夜なら一緒に過ごせるかもしれないんじゃないか?」
笑顔でそう教えてくれる。
「…手伝う…か」
邪魔じゃないかな…。
「…手伝うためだ!って言えば邪見にはしないだろう」
たぶんね。
「うん」
まぁいかにも邪魔しに来ました、というよりかはいささか受け入れられるだろうけど。
「大丈夫だって!いざってときは泣き落としでもしてみたら?」
一緒にいたかったんだもん!!ってさ。
「……そうよね!そうなのよ!!涙は女の武器よ!あたしの涙で落ちない男なんかいないわ!!」
なんだか変に勇気づけられた。
「よっ、それでこそブルー!」
わぁっと手を叩かれる。
「見てなさいよ、グリーン。絶対落とす!」
あたしの、クリスマスバトルが…。
あとがき